エリス紹介

創始者:アルバートエリス(Albert Ellis)

★アルバート・エリスは、1913年アメリカのピッツバーグ生れ

★コロンビア大学で臨床心理学の学位をとり、アメリカ心理学会コンサルティング心理部会長などをつとめ、現在は、Institute for Rational Living(論理療法研究所)を主宰

★クライエントを見ているうちに、精神分析はお金がかかる、時間もかかる、その割には治らないと感じ、効率の良い治療法を工夫

カウンセリング理論の一つで、説得療法と言う特徴を持ち、日本では1967に雑誌で紹介され、訳本論理療法-自己説得のサイコセラピー1981年に川島書店より発行

論理療法は、はじめRational Therapy論理療法:RTと言っていたが、感情の側面を重視してRational Emotive Therapy論理情動療法:RET)、更にはそれに行動が加わりRational Emotive Behavior Therapy論理感情行動療法:REBT)と呼ばれている

簡単に「~に我慢できない」「~に耐えられない」と言う人対して、論理療法では「大変でしたね」とは言わない。「耐えられないと言うことがなぜ分かるのですか」「今まで耐えてきたのに、今後は耐えられないと言うの?」「これから永遠に耐えられないと思うのですか?一年くらいだったら耐えられるのですか?」といった具合に「耐えられない」と言うビリーフが事実を語っているのか、推論なのか、耐えられないと言うビリーフを支えているもう一つのビリーフがあるのかどうか、などを考える。では、なぜ「耐えられない」と言うビリーフを簡単に受け入れないか。「耐えられない」「我慢できない」と言うビリーフをイラショナルとして論理療法が挑戦する根拠は2つある。

(1) 論理療法の提唱者エリスの個人的体験。エリスの父は不在がで、母は社交にかまけて子供たちはいつも放置されていた。エリスは子供の頃に入退院を繰り返しだが、父は一度も見舞いに来なかったし、母も稀にしか来なかった。エリスが11歳のとき、彼の両親は離婚した。コロンビア大学の大学院心理学研究科に入るにも、心理学の科目が不足で夏学期の科目の成績いかんで合否が決まると言う苦境を味わった。「性・結婚に関する博士論文」のテーマが教授陣に反対され、無難なテーマに変更せざるを得なかった。離婚も2回体験した。また糖尿病のため、インシュリン注射を欠かせない毎日を送っているし、そのために1日8回に分けて食事を摂っている。夜中にも目を覚まし、軽食を摂ってまた床につくという生活である。

 するに、エリスはフラストレーションの塊りの人生。不撓不屈の精神で、できる限り楽しく生きることを心がけてきた。それゆえ「我慢できない」「耐えられない」と言う人は“本当にそうか”と、自問自答させるのである。エリスに言わせると、人生の大抵のことは「辛いけれども、耐えられないことではない」

(2) 人生の事実をみれば我慢できそうには思えない状況でも、人は耐えているではないか、ということである。たとえば、第二次大戦中の日本人は食事、入浴、冷暖房など物理的条件は今から考えると極度に貧しかった。しかし耐えていた。今も違う形で私たちはフラストレーションにおかれている。しかし、これに耐えられず、精神疾患や非行に走る人がいる。これは厳格にいえば、本人が「耐えられない」「我慢できない」と言うビリーフをもっているからであると論理療法では考える。「耐えられないほどに辛いことだが、耐えようと思ったら耐えられる」と考える人は精神疾患や非行にならないで済む、というのである。

<国分康孝編「論理療法の理論と実際」誠信書房,1999.3>より

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 如何ですか。決してエリスも順風満帆な人生を歩んでいるとは言いがたい人生を送っています。そして、この中から論理療法が生まれました。

 エリスと同じように悩み・苦しんでいる人の少しでも気が楽になり、前向きに歩んで行けるように、私たちは論理療法の普及を通して願っています。